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Thailand

バックパッカー馴染みの地

旅の扉を開く場所

Story 1

旅の扉を開く場所

「バックパッカーの聖地」とも呼ばれたタイ。

海外、特にアジアを旅する拠点にするにはとっても便利。

私が世界中で知り合ったバックパッカーのほとんどが、

タイには行っていて、私も4回。

1回目はヨーロッパをギリシャからデンマークまで縦断の旅を終えた後に

立ち寄って、

2回目はインドの帰りに、

3回目はタイとカンボジアを旅して、

4回目は旅行会社で働く友達が紹介してくれた、激安1万円のツアーで

タイを旅した。

 

今となっては、アジアのどこでも、南米もアフリカも行くけれど、

バックパッカー始めたばかりの20才頃はヨーロッパやカナダ、アメリカといった

発展国にばかり行ってた。

イメージできる国、だいたいイメージそのままの場所。

安心して旅できるところを選んでたのかな。

 

タイはそんな私に、もっと大きな世界への扉を開く、きっかけをくれた場所。

 

8年前、学校の夏休み1ヶ月半くらいかけて、1人でヨーロッパを旅していて、

その終着点、デンマークの可愛い首都コペンハーゲンから

バンコクに飛んだ。

(優秀な格安航空券が手に入るタイ航空を使ったら、経由地であるバンコクに

タダで立ち寄れちゃいます)

 

北欧とアジア。対極とも言えるほどの別世界。

舗装されてない道の上に立つ屋台や、排気ガスのにおい。

目に飛び込んでくるものが、なんとなくどこもかしこも、

砂埃でちょっとよごれていて、なぜだか路上にたくさん人がいて

全体的にガチャガチャしてた。

 

ヨーロッパの国々では、私は建物を見上げながらスタスタ歩いて、

ちょっと疲れたら公園でお昼ねして、カフェでお茶して、

さらりと街々を通り抜けるような旅をしていたけれど。

タイは、バンコクでは、圧倒的なパワーをもった国の熱気みたいなものが

自分の周りを取り囲んでいるよな感じがした。

土の地面が私の足を引き寄せて掴んで、だから私もしっかり踏みしめなきゃって。

さらりと旅できるところじゃなかった。

そんな感じは初めてだったから、ほんとはちょっと戸惑ってた。

 

私はそれまでほとんどアジアを旅してなかったから、免疫がなかったんだと思う。

日本に帰る飛行機のなかで、「タイ、好きかなぁ嫌いかなぁ」

そんなことを考えて帰ったことを覚えてる。

そして結局、このタイをきっかけに旅の興味がどんどんディープな方向に進んで、

数ヶ月後にはネパール、インドそしてまたタイの地に飛んでた。

バンコクという魔力

Story 2

バンコクという魔力

タイの首都、バンコクでの楽しみは盛りだくさん。

ごはんおいしいし、宿も1000円とかで泊まれちゃうし、治安も問題ない。

バックパッカーも多い。

ふらりとカオサンを歩けばたくさんの欧米人バックパッカーが宴会してるし、

路地裏の屋台には日本人のバックパッカーが地元民みたいな顔してご飯食べてたりする。

タイは格安航空券や、他の国のビザを手に入れる拠点としても、

イスタンブールやカルカッタと並んで有名。

 

夕方になるとどこからか出現する屋台で食べるごはん、

何食べてもほんとおいしいけど、やっぱりタイ料理、

ときどき出会う激辛ごはんに目がシロクロしちゃったり。

 

日差しに疲れた体を癒すマッサージ、

日本じゃ高くてほとんど行けないけど、

タイなら1時間300円くらいで、ぜいたく気分。

タイ古式マッサージの総本山として有名なワットポー、

寝釈迦仏さんの足の裏のうずまきとありがたい模様

(バラモン教の宇宙観が描かれてるらしい)

見た後のマッサージ。極楽とはこのことかーと癒されて。

 

町中に立つ、王様の大きな大きなグラビア写真。

道の真ん中に、ビルの壁面に。

どこかしらに飾ってある王様ショット。

タイの人たちの王様に対する愛が、そこかしらに感じられることに

ほお と感心。

 

ナイトマーケットを通り抜けて、その先にあるのは

歓楽街で有名なパッポンストリート。

ゴーゴーバーではたくさんのかわいい女の子が、ビキニ姿でポールダンス。

ふらりと立ち寄ったレストランの舞台で突如はじまったショー、

全裸のホモさんたちが、乱舞を始めて度肝を抜かれて

走って逃げたことも強烈な思い出。

女の子もホモさんも、番号札を体に貼付けて、

チップをくれるお客さんを待ってその日の仕事をしてた。

バンコクの夜は想像を超えるくらい奥が深くって、

知られざる過去や事情がたくさんあるんだと思う。

旅をするなら垣間みるくらいで。

深みにはまらないようにご用心。

 

そのほかにも、おもしろいTシャツやアクセサリーとか、雑貨のお買い物も楽しい!

緻密な細工が施された仏教建築も豪華絢爛。

オレンジ色の布(黄衣)をまとった僧侶の姿がちらほら見える。

タイの男の子は出家して初めて1人前として認められる、という文化があるらしく、

結婚する前に数週間の一時出家することがあるんだって。

 

タイは行くたびにどんどん発展してて、道路や建物がきれいになってくけど、

空港も今や近未来的な建物になっているけど。

独特の甘い香りただよう空気や地面から立ち上がる熱気、

そしてそこに暮らす人の穏やかな口調や微笑みは、

変わらない。

お金持ちも、貧乏学生も、どんな旅人だって受け入れてくれるバンコクは、

魅力と魔力があふれてる。

 

いつも新しい驚きくれるタイには、まだまだ知らないこともあるけども、

なぜかただいまって、言えちゃうようなとこもある。

とりあえず、タイ。は、

大正解!

初めてだって、何度目だって、おもしろい何かがきっと待ってる。

虎とたわむれる寺

Story 3

虎とたわむれる寺

タイガーテンプル

タイには、虎と僧侶が暮らす寺があるという。

そのうえ、虎とすっごい近くで会えるって、

むしろ触れるって!

そんなことを聞いて、

バンコクから車で2時間半ほど、カンチャナブリーにあるタイガーテンプルに。

 

そこに入るためには、「虎に食われても文句言いません」というような書類に

サインが必要。

密猟者に親を殺されてしまった子どもの虎を引き取って、

僧侶とボランティアの人たちが育てる。

詳しいことはよくわからないけど、本来肉食の虎を、子どもの頃から

血抜きした餌で育てることで、虎は人を襲わなくなるらしい。

照りつける日差しのなか、ついた広場には、虎虎虎。10頭以上?

だらーん ごろーん

えー!シッポつかんで引っぱって動かしてる、あの僧侶さん!いいの?

慣れた手つきのボランティアの人たちに連れられて、

「はい、虎なでてー、はい、撮ります!」

いっぱい写真撮ってくれた。

虎、ほんまに触れた。ちっとも怖くなかったし、

なんなら隣でいっしょに昼寝くらいできそうな。

 

日本で見る動物園の檻のなかの虎は、大好きな肉を食べれて、

タイガーテンプルの虎は、肉食べられへんけどあったかい日差しを浴びれてる。

どっちにしたって、人間の庇護のもと暮らしてることには違いはないけど、

もし私が虎語を話せて、「ねー調子どう?呼吸、できてる?」

とか聞いたなら、

タイガーテンプルの彼らは「おーぼちぼち。ええで」って答えて、

動物園の彼らは「・・・」って

そんな感じなんじゃないかと、勝手に思って

少しだけ複雑な気分になった。

同じ「虎」って動物なのに、生まれた場所が違うから

生き方がこんなに違ってる。

でもそういえばそれって人も同じで、日本人はこんなに自由に、

日本国の庇護のもと、ほとんどの国に自由に旅できちゃうけど、

世界にはパスポートを取りたくっても取れない人や、

自由に海外を旅行するなんて夢のまた夢だっていう人も

すごくたくさんいる。

同じ「人」って動物なのに、生まれた場所が違うだけで。

 

私には、日本人にはたくさんの自由が許される人が多くて、

タイガーテンプルや動物園の虎たちより、

そしてパスポートを持てない人たちと比べると、

その点においては恵まれてるって言える。

でも「自由」って、無限の自由は時に人を迷わせて、

結局のところ、動けなくなって

「不自由」につながってしまうんじゃないかって思う。

「なんでも好きなことをいつまでも勝手にご自由にしてください、どうぞ!」

って言われても、困る。

自由に生きるって、簡単そうに聞こえて、

実は結構困難なこと。

枠組みは必要、でも大事なのは、その枠組みをどこで引っぱるか。

忙しいからとか、時間がないから、お金がないから。

そう理由つけて、やらないことは、

本当は本当にやりたいことじゃないんだと思う。

 

私にとっての旅は、本当にやりたいことや知りたいことがたくさん詰まっていて、

自分が生きる上で、軸として通そうって決めたことだから。

私の枠組みは、大事な人たちや仕事、守るべきもの、守りたいもの。

どうやってその大切なことを守りながら自由に生きるか、

ってことが本当の自由なんだって思ってる。

 

無限の自由との、幸せな境界線のなかの最大の自由な時間を、

私は今のところ、ここ10年ほど、そしてきっとこの先も。

旅をするよ。

象の話

Story 4

象の話

日本にいると、町中で目にする動物って、猫とか小鳥とかくらいだけど。

あ、うちの実家の庭には猿が出たらしいけど。

発展途上国では町でもいろんな動物に出会うことができるので、

すごく楽しい。

 

タイガーテンプルには、虎のほかにも広い敷地のなかに、

鹿、牛、馬、クジャク、ヤギとか、いろんな動物が自由に歩き回っていた。

オレンジ色の袈裟を着た僧侶たちも、自然とその風景に溶け込んでいて、

不思議な感じがしたけれど、それが彼らの日常。

世界にはいろんな寺があるなぁ。

 

そしてタイの動物、と言って頭に浮かぶのは、

象。おみやげにも象モチーフのものが多いし、

ホンモノにもたくさん会った。

 

「タイの国の形は象の頭に似てるんだよ、知ってた?」

旅の途中、こんな話を何人かのタイ人が教えてくれた。

「象はタイ人にとって特別な動物で、象の日や象法なんてものも

あるよ」って。

 

調べてみたら、象法というのは、

白い象が生まれたら王様に献上することになっているという

独特の法律。

王様に白い象を献上した飼い主は、王様に面会できて、多額の報償と

名誉をもらえるとのこと。

そういえば、手塚治虫さんの漫画、ブッダに、

「お釈迦様が生まれるときに、白象がおなかの中に入っていった夢をみて

妊娠を知った」ってお話があったし、仏教国のタイでは、

そのことが関係してるんだと思う。

だから象はタイ人にとって大切な動物として見られてる。

でも現実は、観光客向けに調教されたり、ジャングルトレッキングしたりするために

飼われている象も多いし、林業などで貴重な労働力として働いていたりも

するらしい。

 

カンチャナブリーにはタイガーテンプルの近くに

象トレッキングができる場所があったので、行ってみた。

すごーくたくさんの象がいて、その背中に乗って林を抜けて、

川を渡った。

1頭につき、象使いが1人象の首にまたがって、短い棒を巧みに使って

象を操ってくれた。

私が乗った象の名前は「アイハン」

それぞれにちゃんと名前が付けてあることに、ちょっとした愛を感じた。

象の肌は冬場にクリーム塗らなかったかかとの皮膚みたいに

ガシガシで、当たり前だけどあったかかった。

体に似合わないちっさな瞳もかわいかった。

 

そして子象のパフォーマンス。

よく訓練されてて、立ったり、

寝そべった観客を足でトントンマッサージしたり。

私の手からミルクをぐびぐび飲んで、ちゃんとビンをお店の

空ビン入れに返却したりね。

 

これは私が感じたことだけど、

確かに彼らは見せ物としての象たちではあるけども、

その象を見守る飼い主のタイ人たちはとても優しい表情で、

仲間として象を大切にしてるように見えた。

 

「象さんありがとう、がんばって」

最後にいい香りのするお花をあげたら、

器用に鼻で私の手から花を摘んで、ペロリ食べてくれた。

におい、わかった?

秘島、そしてカンボジアへ

Story 4

秘島、そしてカンボジアへ

タイはラオス、カンボジア、ミャンマー、マレーシアと国境を接していて、

その気になれば陸路でどこまでも旅を続けることができる。

島国、日本生まれの私にとって、「陸路で国境を越える」ことは、

ワクワクする旅の楽しみのひとつ。

出国、入国、二つのスタンプ。

夜、安宿のベッドのうえで、秘密のポケットからパスポート出してきて、

「スタンプ増えたなぁ、いつか埋まるかな」って。

愛読書みたいなパスポートは、大事な宝物。

 

2週間ほどタイとカンボジアを旅した時の話。

まずバンコクから小さなバスに乗って国境近くの小さな町へ。

そこからカンボジアに抜ける前に少し寄り道、

町の食堂のおっちゃんに聞いた島に向かうことにした。

ガイドブックにも載らない秘密の島、チャーン島。

地図を頼りに、船に乗って30分。

とりあえず桟橋に止まってたトラックの荷台に乗っけてもらって、

ビーチについた。

今日のお宿は、砂浜に立つすごーく傾いて、窓も閉まらない、

トイレの上はオープンエアのロッジ、250円だったかな。

おっきいゴキブリとかいちゃって、少し涙目になったけど、

案内してくれた人が、あははって退治してくれた。

そしてよく見たら隣のロッジ。。。

サワディカー(タイ語でこんにちわ)って、現地の人が住んでいた。

 

ビーチに出るとちらほら見える、思い思いに時間を過ごす旅人たち。

浅瀬に立って読書するおっちゃん

上半身裸でブリッジして遊んでる女の人

白い砂の上に立つ掘建て小屋で、

波の音さらさら聞きながらマッサージしてもらった。

とろりん本読んだり、ほかの各国からの旅人とごはん食べたり。

「サメステーキ」なんてメニューがあって、誰かが頼んでたけど、

あれがほんとにサメだったのかは謎のまま。

 

船で沖合まで連れてもらってシュノーケルもした。

熱帯魚の群れに向かって、船からダイブ!

手で掬えるほどの魚の多さ。

顔面レベルの大きさのウニに

びっくりして近づいたら刺されて流血した。

 

昨日まで、チャーン島って名前も知らなかったってのに、

こんなにも美しい島に偶然にも流れ着けたことがうれしかった。

バックパッカーとして旅をすると、思いがけないところに

辿り着いて、出会うはずでも予定でもなかった景色や人に

どんどん巡り会うことができる。

それがバックパッカーの大きな利点。

ツアーだったらラクチンだけど、

なかなかこんな出会いは出来ないだろうし、

こんな出会いこそが私にとって旅のいっちばん楽しいこと。

 

こんな感じで数日間、予想外の寄り道リゾートを楽しんで、

さて次はカンボジア!

駒を進めるために

またトラックの荷台と船に乗って、国境に向かった。

旅の呼吸

Story 5

旅の呼吸

ちょうどタイに行こうとしていた時期に、

日本では「東南アジアでは鳥インフルエンザが大流行」

という情報がたくさん流れてた。

日本で耳にする情報は、ときどきちょっと大げさで、

鵜呑みにしてしまうともったないことが結構あるって思う。

だから鳥インフルエンザのことも知ってたけど、

人への感染は、濃厚な接触をしたときに起こるってことも

知ってたから、

私は濃厚な接触をする予定はなかったから、大丈夫って。

鶏はいろんなとこでてくてく歩いてたけどね。

旅をするに、無茶はだめだけど、

自分で大丈夫かどうかは判断する力が必要だと思う。

 

旅をしていて、ほんとにおもしろいなぁって思うのは、

1ミリも予想してなかったことが、現実になるってこと。

日本にいたら、明日や来週のことはだいたい予想がつくけども、

知らない土地に行ったら、予想はたちまち裏切られる。

多くの場合、良い方向で。

旅は、言ってみたら白地図を、自分で一歩一歩、

自分で色付けていくようなもので、

誰に流されるでもない、自分にしか作れないその地図は、

旅に出なきゃ出会うはずもなかった景色や人がどんどん溶け込んで、

きっといつか、自分を支えてくれる証になるはず。

だからこれからも、まだまだ白い自分の地図を、

彩っていきたいって思ってる。

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